白鳥区
概要
江戸時代にはさまざまな題材の練り子で祇園祭礼に参加していました。放生祭には、明治40（1907）年から神楽で出ています。稽古場と本陣に使用している白鳥会館（旧桑村謙庵家店蔵）は明治時代の洋風建築物で、国の登録有形文化財です。
歴史
明治7（1874）年の町名改正により、二鳥居町51戸と風呂小路63戸を合わせて白鳥町（区）となりました。
記録によれば、二鳥居町は寛文11（1671）年と延宝7（1679）年は「田植」の練り子、延宝8（1680）年は「輪貫」、天和3（1683）年は「熊坂」の練り子を祇園祭に出しています。また文化末（1817）年頃や安政5（1858）年には、福岡町（現 鹿島区の一部）と合同で「田植」の練り子を出していたことがわかります。
風呂小路は、寛文11年は「虚無僧」、延宝7年は「花園」、文化末年頃は「花」、安政5年は「花折子供」といった練り子で祇園祭に出ています。
明治以降での放生祭では、明治31（1898）年には「祭礼前日に奉納物」、明治33年は「奉納」、明治39年は「引物」とあり、明治40年から神楽を白鳥区の固定した演し物とすることになり、現在に至っています。白鳥区の神楽の前屋台（先屋形）は、市松模様の障子屋根で、軽く出来ています。
▲ 白鳥区神楽
（昭和初期、井田家旧蔵古写真）
演目と構成
白鳥区神楽の囃子の曲は「揚げばい」「布袋」「ほうえん祭」「兵蔵」「津島」「攻め」「掛け合」「唐子」「明月」「吉田」「三輪」があります。鹿島区がもつ曲のうち「らんてき」だけは教えてもらっていません。
巡行の出発の際には「揚げばい」を奏し、巡行中は「吉田」「掛け合」などの道引き用の囃子を演奏します。「道引き」用の囃子では、後屋台の大小の太鼓を打ちます。八幡神社への宮入や、同じ神楽を演し物とする区の本陣では、「三輪」を、その他の本陣では「津島」を奉納・披露します。このときには、前屋台の二つの締太鼓の太鼓を打ちますが、｢三輪｣は大人が、「津島」は子供が打ちます。
八幡神社への宮入のときや、白鳥区の本陣へ帰る時には、「攻め」を演奏します。道中から徐々にテンポを上げていき、神前や本陣前で屋台を据えると、しばらくの間、早いテンポで力強く太鼓を打ち込みます。
▲ 白鳥区神楽の後屋台
▲ 白鳥区神楽 宮入での「三輪」の曲の奉納
▲ 白鳥区神楽 「津島」の曲の披露